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漂着目薬瓶

「あの海を想う」シリーズの新作を紹介します〜。
今回のモチーフは海岸に打ち上げられた”両口式点眼瓶”という古い目薬瓶。

まずはこの目薬瓶の説明を…

“両口式点眼瓶”

 
両口式点眼瓶は昭和初期~中期に日本で製造されていた目薬瓶で、上の口に付けられたゴムの蓋を押すと下の口から適量の薬液が滴下できるという構造。プラスチック容器が登場するまでの間、各社から多様なデザインのものが販売されていました。
   

様々な色と形、社名や商品名の味わい深いエンボスとか表面の銀化とか、古いガラスの小瓶ってなんでこんなに魅力的なんでしょうね。

こんな素敵な小瓶たちが海岸に打ち上がってたりします。ビーチコーミングでは昔の目薬瓶はウキウキの収集アイテムで、精力的に拾い集めてる方が全国にたくさんいらっしゃいます。
でも、私は沖縄の海岸ではこれまで全然拾えてないんです(涙)。上の写真に並べてる瓶は購入モノばっかりで、十分に魅力的なんだけど自分で拾ってないから一個一個への思い入れが物足りない…。自分で目薬瓶を拾うのめちゃくちゃ憧れてるんですが、もうビーチコーミングだけじゃなくてボトルディギングもやってみたくなってきました(それもかなり大変そう…)。

そんな強い憧れがあって、今回の”あの海シリーズ”は海岸に打ち上げられた両口式点眼瓶をモチーフにした作品を創ってみることに。
また最初の写真に混ぜ込んでるの、バレバレですよね(笑)。
 


「あの海を想う -漂着目薬瓶-」2018

海岸に打ち上がったこの古い目薬瓶の中には、海上で繰り広げられているカツオドリとトビウオの攻防シーンの記憶が映っています。この俯瞰の光景は航行中のフェリーのデッキなどからよく見られるもので、カツオドリは船の脇から飛び出すトビウオを狙って航行中ずっと付いてくるんです。ひょっとしたらこの目薬瓶もフェリーから海に投げ捨てられたものかもしれません…。
 
トンボ玉作品「洋上の風」と同じシーンですが、小さな玉では裏表に別々に入れていたカツオドリとトビウオをもっと広いステージに並べて一画面で表現してみたくて…。やっぱり臨場感が出ていいですね。
 
このカツオドリとトビウオの攻防シーンについては以前「洋上の風」の紹介で詳しい写真を載せてますのでそちらをご覧くださいませ。

彩元堂旧ブログ 2016年10月20日

目薬瓶のデザインはオリジナルでそれっぽく作りました。持った感じは実物の両口式点眼瓶よりずっしりと重いんですが、大きさは実物とほぼ同じ。”あの海シリーズ”は擬態作品なので全て実物大で作ってます。

↑各部のアップ。
漂着瓶ということでサンドブラストした表面に意図的に傷を点刻してあります。
エンボスの怪しい眼印と「元」サインが思いっきり主張してますね…(汗)。

トンボ玉作品「洋上の風」のトビウオと比べると分かりやすいですが、今回のトビウオたちはカツオドリとのスケール感を考慮して可能な限り小さく作りました(これが限界っ)。

↑逆光ではこんな感じ。

ちなみに目薬瓶の記憶の光景にカツオドリを選んだのは、彼らの主な死因に関連しています。カツオドリさん、どうぞ眼を大切に〜。

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「あの海を想う -漂着目薬瓶-」

2018年4月制作
ガラス造形作品・「あの海を想う」シリーズ

サイズ:78mm x 28mm x 18mm
材質:主に鉛ガラス、一部ソーダガラスを使用(佐竹ガラス)
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今月のグラス2Hオークションにこのガラス造形作品「あの海を想う -漂着目薬瓶-」を出品しています。
入札日は4月23日(月)、終了時刻は 21:30 (自動延長あり)です。
今回の作品も気合の一品ですっ。どうぞよろしくお願いいたします!