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沖縄のサスマタアゴザトウムシ

沖縄本島の北部、ヤンバルの深林の底に人知れずひっそりと棲んでいる小さな蟲について。

最近出会って興奮しちゃったカッコ良すぎる蟲さん、サスマタアゴザトウムシを紹介します〜。

成体オス(沖縄本島 国頭村)

 

華奢な体の前方に不釣り合いなほど巨大な鋏角(きょうかく:ハサミの腕ね)! オスには鋏角の肘?(第1節と第2節の関節)のところに長いトゲ状の突起まであります。沖縄にもこんな素敵なザトウムシが生息してたなんてずっと知らなかった….。

成体メス(沖縄本島 国頭村)

 

 
  普段はハサミを口元に収納したこの姿勢が基本。
なかなか鋏角を動かしてくれません。

サスマタアゴザトウムシ(Nipponopsalis abei )は外部形態に基づいて2亜種に分けられていて、
・サスマタアゴザトウムシ(Nipponopsalis abei abei ):本州、四国、九州、屋久島
・アマミサスマタアゴザトウムシ(Nipponopsalis abei longipes ):奄美大島
とされています。
後者は前者より足が長くてオスの鋏角の第2節の長い突起が前者ほど膨らまない点で区別できるとのこと。
沖縄のものは見た感じだとアマミサスマタアゴザトウムシっぽいです。

軽く文献を調べた範囲では分布域に沖縄が入ってなくてこの属の分布の南限が奄美大島みたいだし、ネット上でも沖縄のサスマタさんの画像や情報は見つけられず…..。

僕も沖縄にこの蟲がいると思ってなかったんですが、2015年にヤンバルで何気なく撮った謎のザトウムシの写真を後でよくよく見るとなんだかサスマタさんの幼体っぽくて気になってました。

幼体(沖縄本島 国頭村)

それで先月ヤンバルにサスマタさんを探しに行ってみたら、夜に2時間探して成体メス3個体発見(全て朽木の上にて)。思ったより普通に見つかりました…笑。
先日遊びに来ていた礒野さんと町長さんにも見てもらおうとまた同じルートを探していたら今度は成体オス1個体を発見(こっちは石の上)。オスが触肢のクリーニングを始めてトゲ付きの鋏角をカシャカシャ動かしてくれて、もうあまりのカッコ良さに大興奮です♪

小さいとはいえこんな素敵生物をこれまで見逃していたなんて(恥)。
沖縄の土壌生物屋さんとかは普通に見てる生き物なのかもしれないけど、ネット上に全然情報が無いみたいなのでこの場で紹介させていただきました。

サスマタアゴザトウムシ、沖縄にも生息してますっ(奄美亜種アマミサスマタアゴザトウムシの方っぽいです)。