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新作「アバロン」…Glass2H

今年最初に完成させた新作を紹介しますね。
1月のGlass2Hオークションの出品期間中にギリギリで間に合わせることができました。いつもギリギリ〜♬

ガラス作品「アバロン」
Jan. 2023

海辺で拾ったモノにまつわる記憶をテーマにした「あの海を想う」シリーズの新作です。

この作品のモチーフは僕が沖縄の海岸で拾った小さなアワビの仲間の貝殻と、そこの海で冬の干潮時によく見かけるオオマルモンダコやルリスズメダイが棲む潮だまりの光景。
長年ずっと創りたいと思っていたオオマルモンダコをやっと作品にすることができました。

タイトルの「アバロン(Abalone)」はミミガイ科のアワビ類の総称です。
アバロンってなんか響きがいいですね。
タイトル、悩みました。今回モチーフにしたアワビ系の貝殻は「マアナゴウ」という種類っぽいですが同定に自信がないのでタイトルにしたくないし、かといって日本語の「アワビ」では’ミミガイ科の大型の巻貝の総称’みたいなので(この小型種は含まない?)、英語の「Abalone」なら大雑把に’ミミガイ科のアワビ類の総称’とのことなので良いのでは…的な理由でこのタイトルに決めました。なんとなくカッコイイってのもありまして…。

本作の元になった貝殻がこちらです↓

実は今回制作を始めるまでこのアワビ系の貝殻の正式な種名を知らなかったんですが(貝類は全く勉強不足で…反省)、調べたらどうやらマアナゴウ(もしくはマアナゴ、Haliotis ovina)という種類みたいです。サンゴ礁に生息する小型のアワビ類。それにしてもマアナゴって魚っぽい名前ですね。

この渦巻状に並んだ突起の形状を見るといつもタコの足先を連想してしまうため、この貝殻はいつの間にか僕の中のタコの記憶と繋がっていました。ここの海で出会って一番興奮したタコといえば…はい、猛毒で美しいオオマルモンダコです。

オオマルモンダコ(実物)↓

サンゴ礁に棲む小さなタコで猛毒のテトロドトキシンを持っているため噛まれると非常に危険ですが、基本的にこちらから触らなければ全く無害な可愛らしい生物です。同属のヒョウモンダコと混同されがちだけれど、沖縄でよく見かけるのはこのオオマルモンダコの方。
僕が沖縄に来て初めてこのタコに遭遇した時はそのものすごい存在感にとても感動しました。冬の夜磯で潮だまりを覗くと割と普通に見つけることができて、いつも出会う度に興奮してたくさん撮影してしまいます。

  

「アバロン」の貝殻の中に見えるのはそんな潮だまりの光景。

作品の中のオオマルモンダコは大きさが10mm程とかなり小さめです。形態はデフォルメ気味でやや無理してる部分もありますが、全身のリング模様は実物の配置を可能な限り忠実に再現しました。オオマルモンダコの青リングの位置や数ってランダムじゃなくてしっかり決まってるんですね。

いつも主役扱いのルリスズメダイたちは今回は脇役。とはいえ作品の表現上かなり重要な存在なのです(オオマルモンダコの青いリングが細かすぎて鮮やかに発色しない分の「青」を作品に加えつつ、全体の流れを生み出す役割とか色々…)。

以前、潮だまりで資料用にルリスズメダイを撮影してたら気づかないうちにカメラを持ってる手にオオマルモンダコがぶつかってきてかなりドキッとしたことが…そんな事を思い出しながら制作しました。

実物の貝殻裏面は美しい虹色光沢のある真珠層になっているので、この作品に広がる光景もそれに負けないくらい美しく!っていう制作時のプレッシャーが凄かったです(笑)。

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ガラス造形作品・あの海を想うシリーズ
制作時期:2023年1月
サイズ:36mm x 30mm x 17mm
材質:主に鉛ガラス、一部にソーダガラス(佐竹ガラス)
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作品には展示/収納兼用の専用木箱が付属します。


この作品「アバロン」は明日(2023年1月23日・月)開催のグラス2Hオークションに出品中です。
本品の入札終了予定時刻は 22:20 です(自動延長あり)。
今回の作品、オオマルモンダコの制作にはかなり苦労したため開始価格を高めに設定させていただきましたが、もし気に入ってくださる方がいらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします!

Glass 2H