ガラス造形作品「あの海を想う」シリーズの新作。今回は海岸に打ち上げられたタコブネの殻がモチーフです。ビーチコーミングやってるとタコブネの殻はもう憧れの存在ですよね〜。
「あの海を想う -タコブネ-」(2017)
タコブネ(蛸舟、学名:Argonauta hians)はタコの仲間で、メスは自分で作った貝殻の中に乗り込み外洋の表層付近を漂いながら生活しています。英名Argonaut(アルゴノート)は”ギリシャ神話に登場するアルゴ号の乗組員”とか”冒険家”の意味を持つ言葉で、なんとも海のロマンを感じる存在なのです。
同じ頭足類のオウムガイに似てますが殻の内部の構造もちょっと違って完全に別のグループ。オウムガイは本体が殻から離れられませんが、タコブネはただ殻に乗ってるだけのタコさんなので自由に離れられます。オウムガイはノーチラス、タコブネはアルゴノートでどちらも有名な潜水艦の名前に使われてますね。
殻の中から溢れ出す海の記憶。
底の見えない深い外洋を泳ぐウルメイワシの群れとその上を漂うミズクラゲ。
この殻の主も見ていた景色です。
強い光を透過させると海の色がガラッと変化します。
殻を微かに茶色く見せるために仕込んだ色ガラスが良い効果を出してますね。
夢の中みたい。
実物と一緒に。
専用の標本箱を制作しました。
蓋のツマミはガラス製で、私のサインパーツ「元」が入っています。実は、本体のガラス作品の方にサインを入れ忘れちゃいました。今回の新作は制作時の緊張感が半端なくて、あまりの余裕の無さにサインのことをすっかり忘れてしまいまして….(汗)。そこで急遽、サイン入りの専用箱を作って全部で一つの作品とすることにしたんです。
裏側には各種のイラストと学名が記されたラベルを貼ってます。焦りながらも楽しくお絵描きしました。
箱上面の枠部分は真鍮板で装飾。この真鍮板のくり抜きが思ったより大変で…一番時間かかった部分かも。ちょっと味気なかったので表面を叩いて細かい傷や凹凸をつけて遊んでます。真鍮パーツは今は艶がありますが、時間が経つと地味にくすんで落ち着いてくるはずです。
この標本箱は蓋をひっくり返すと展示台になります。
うむうむ、自画自賛ですけど良い出来ですっ。
箱の大きさ:H50mm x W81mm x D50mm (ツマミ部分を除く)
ガラス作品の大きさ:50mm x 29mm x 33mm
この箱の形、50mm x 81mmは約1:1.618の黄金比になってます。
今回は黄金比じゃなきゃいけない気がして…
こうやって飾ったら誰にも気づかれません…(笑)
動画もご覧ください〜。
この新作「あの海を想う -タコブネ-」は今月のグラス2Hオークションに出品しています。入札日は8月25日(金)、本品の入札終了時刻は22:15です。明日ですっ。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の作品は作るのがものすごく大変だったこともあって個人的に非常に気に入ってます。なので作品写真をたっぷり載せちゃいました。ホントに手放すのは惜しいなぁ….。次に作るのは自分用と決めてるけど、ちゃんと作れるか不安でして…(汗)。この作品、今後また販売するかどうか全く分かりません〜。
追記(12/7, 2017):この作品の後日談はこちらの記事をご覧くださいませ↓