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ガラス作品「空飛ぶ夢」

「空飛ぶ夢」
ガラス造形作品 2018年8月制作

新しい作品が完成しました。シモフリスズメというスズメガの仲間の蛹がモチーフです。
 

昆虫が主役の作品を作るのはこれが初めて。
最近、あるシモフリスズメさんに出会ったのがキッカケでこの作品を創ることに…。


先月、お世話になってる近所の水屋さんで見せてもらった大きな蛾の蛹。土の中から出てきたそうです。

長い口吻が特徴的なとっても魅力的なサナギさん。それを子供たちが飼いたいって騒ぐんで、じゃあ羽化まで見せてあげようと家に連れ帰ることに(近所なので羽化したら放してやろうと…)。
 

調べてみたらどうやらシモフリスズメの蛹。そっと持ち上げたらお腹を振って反応しました。カワイイ。
 
室内に置いて羽化を楽しみに待ち続けて、ある晩気がつくと蛹が抜け殻にっ!
焦って周りを探したら羽化したばかりのモフモフが壁を登れなくてモゾモゾしてるのを発見。

慌てて息子のゴジラのソフビに掴まらせたところようやく落ち着いて翅を伸ばし始めました(絵的にアレですがゴジラが一番羽化の足場に良さそうな形状だったんです…汗)。
でも翌朝見たら翅が完全に伸びきらず羽化失敗。連れてきてしまったこの蛾には本当に申し訳なくて、ひたすら後悔です。
この飛べないシモフリスズメは家でそのまま飼うことにしたんですが、蜜を吸ってくれないまま4日程で死んでしまいました。

それからずーっとこのことが頭の中に引っかかってて、先日かなり突発的にこのシモフリスズメの作品を創りたくなってしまって…すぐに制作開始。

↑ 制作前のイメージスケッチ。実物よりかなり丸っこくデフォルメしてます。左上の絵、腹節の数が違ってるけど…(汗)。
「こんなの作れるのかー」とひたすら不安になりながら描いたんですが、実際に制作してみたら意外とそれらしいモノになったので一安心。
 
 

光によって見え方を大きく変えられるのがガラス作品の面白いところ。この蛹では内部が液体で満たされてる感じが表現できればと…。

蛹の中身は幼虫時代の組織のほとんどが分解された液体の状態だそうです。それから蛹の外部形態を鋳型にして成虫の体を再構成するっていう不思議すぎる変身プロセス。完全変態昆虫ってホントに凄いっ。

体の大部分は液状化しても神経系の一部は残るので、幼虫時代の記憶はきちんと成虫まで覚えてるらしいです。神経系と呼吸器官の一部しかない蛹の時期って一体どんな事を考えて過ごしてるのか…..勝手な想像が膨らんじゃいますね。


大きさ:74mm x 26mm x 28mm

この作品「空飛ぶ夢」は今月のグラス2Hオークションに出品しています。入札日は8月23日(木)、本品の入札終了時刻は22:40です(自動延長あり)。
今月は他にもコレクターさんからの代理出品ということで私のクラゲシリーズ2作品が出品されています。自分の作品が人から人へと旅をしていくのも作り手として嬉しいものです〜♪
ではでは、どうぞよろしくお願いいたします。

この作品は個人的な思い入れの塊なので当然ものすごく気に入ってます。苦労して創った作品はいつも「手放したくない!」ってなりますが、今回はちゃんと2つ制作しました。時間が経つと作り方を忘れちゃうので(笑)、後でまた作るよりは連続して作ったほうが楽…。奥の個体が自分用の第一号(こっちの方が口吻が細くて心配なので自分用に)。第一号は今度の個展とかで実物を見てもらえると思います。