“海で拾ったモノにまつわる記憶”がテーマの作品群「あの海を想う」シリーズ。その第一作目は2015年に発表した「あの海を想う -ウニ殻-」でした。
今月は本年最後の大仕事のつもりで、そのウニ殻モチーフの作品を制作方法から練り直して今の自分にできる最大限の表現で再び作ってみました(汗)。
「あの海を想う -ウニ殻-」 2017年制作
今作も大好きなキダリス類(オウサマウニ類)の殻がモチーフです。
中央に見えるのは”アリストテレスの提灯”と呼ばれるウニの口器。
↓動画で紹介しますね。
ウニ殻コレクションの中に混ぜてこっそり飾れる擬態作品(笑)。前回作ったタコブネと今回のウニ殻はかなり擬態度が高いですっ。
頂上系の板が大きく欠けた殻の中には”あの海の光景”が映っています。見えているのは赤いイソバナの周りを泳ぐ3匹のシリキルリスズメダイたち。イソバナは潮通しの良い岩礁等を好みますので、そんな環境の景色が広がっているようです。
↓海の光景を拡大。
左:栄養状態の良さそうなぽっちゃり体型のシリキルリスズメダイが表層に1匹、底の方に2匹泳いでいるのが見えます。
右:魚の大きさが分かりやすいように鉛筆の先端を一緒に写してみました(あんまり分かりやすくないかも….)。
キダリス類の殻は結構もろくて、海岸で見つけてもあちこち欠けてバラバラになっているものも多いです(下の写真はバラバラになった殻を接着し直したもの)。
以前はこんな風に欠けてる殻を拾っても「完品じゃなくて残念っ!(標本的に…)」って思ってたんですが、今では欠けてたり付着物で汚れてたりする漂着物の方が個々の物語を感じることができて愛着が湧くようになりまして…。
そんな訳で今回制作したウニ殻は上部が大きく欠落したデザインです(2015年に作った殻は完品でした)。この殻、柔らかい周口部が抜け落ちずに残っているということは水中で死んで殻だけになったんじゃなくて、生きたまま浜に打ち上げられて乾燥してからトゲが落ちたんじゃないかな…とか勝手に想像を膨らませながら作りました。愛着たっぷりです。
そしてこの作品、ウニ殻としての楽しみがもう一つ。
作品を真下からLED懐中電灯で照らすともちろん綺麗! ウニ殻ですから〜(笑)。
青色ガラスは海の奥行きを出すために入れたんですが逆光でも良い効果を出してくれてます。
撮影に使ったLEDライトは白色の光ですが、電球色みたいに見えるのは殻のベースに使った象牙色(不透明)のガラスによるもの。光にかざすと思ったより黄色くて透過率高いみたい…。
注意:この作品、蓄光ガラスは使っていないので暗闇で発光はしません〜。
手で握るとツボが刺激されそうです(笑)
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2017年12月制作
ガラス造形作品・「あの海を想う」シリーズ
材質:鉛ガラスに一部ソーダガラスを使用(佐竹ガラス)
大きさ: 31mm x 31mm x 20mm(突起部を除く)
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この作品は今月のグラス2Hオークションに出品しています。
入札日は12月22日(金)、ガラス造形作品「あの海を想う -ウニ殻-」の入札終了時刻は23:00です(自動延長あり)。
もう一点、同シリーズのビーチグラスも出品しています(終了時刻は22:45)。こっちの作品についてはまた明日ブログで紹介しようと思ってます。
なお、このウニ殻作品には専用の木製標本箱を付属させようと思っていますが、今回はオークションの入札日まで日数が無いので制作は落札後になってしまいそうです。何卒ご了承くださいませ。
それでは今年最後の2Hオークションも、どうぞよろしくお願いいたします〜。
2015年に制作したウニ殻作品と「あの海を想う」シリーズについては当サイトの作品ギャラリーをご覧くださいませ。