自然環境シリーズの新作トンボ玉が完成しました。
春に沖縄の浅瀬でカサノリなどの小さな海藻類が繁茂している光景を記録しました。
海藻類メインの環境を玉の中に記録したくて三年ほど浜比嘉島の潮だまりに通って観察を続け、ようやく完成した作品です。
ちなみにタコさんのトンボ玉「海草藻場をゆく」は海草の環境でした。今回の作品は海藻(その中でも小さな緑藻類)の環境。紛らわしいですね(汗)。
以下はこの作品の構想を練るために春の浜比嘉島で撮影した生き物たちです。
新作の主役はこのカサノリ。冬から春先に浅瀬でワサワサ生えてます。沖縄の海で初めてカサノリを見た時はかなり感動しました。カサの径が約1cmで高さ5cmほどの緑藻類ですが、これが巨大な単細胞生物だなんて…..。こんな複雑な形でカサから根本までで一個の細胞ってすごい面白いですねぇ。そしてホントに美しい!
周りにはイソスギナやウスガサネなど色んな緑藻類がごちゃっと茂って小さな森を形成しています。
カサノリよりも小さなウスガサネ。名前の通り臼を重ねたような形が面白い。これもカサノリ目で単細胞かな。
ミドリゲ目のマガタマモ。これとかバロニアとかは巨大単細胞藻類って言われるとすんなり納得できるんですが…。
センナリヅタ。海ぶどう(クビレヅタ)と同じイワヅタ科の緑藻。
インパクトのある生き物発見。すっごい長くて綺麗なサナダヒモムシさんです。結構アクティブな子で潮だまりを散歩してました。こういう長い生き物ってめっちゃ大好き。
* 寄生虫のサナダムシとは一切関係ありませんので。
いい感じに控えめな柄のウミウシさんがいました。黒くて可愛いホンクロシタナシウミウシさん。
もちろんこれらの他にもとてもたくさんの生き物たちを観察したんですが、なんとか絞り込んでこの6種で作品を創ることにしました。
緑藻類を4種も採用したのは多様性を表現するため。いろんな種類を一つの作品に詰め込むのはこういう環境の生物多様性の高さを伝えたい場合に限定してます。
小さな玉に表現するため、サナダヒモムシとホンクロシタナシウミウシは撮影した個体よりもかなり小さめの若い個体という設定にしました。実際にはどちらも様々な大きさの個体が見られるので…。
生き物写真を見てもらった後で作品の詳細画像を見ていただくと、よりイメージが広がるんじゃないかと。伝わって〜(笑)。
カサノリ・センナリヅタ・ウスガサネ・マガタマモなどが茂る海藻の森を若いホンクロシタナシウミウシやサナダヒモムシが散歩しています。
玉の主役はあくまでもカサノリです。地味といえば非常に地味だけど、こういう目立たない小さな世界の美しさを掬い上げて作品にすることは自分の創作活動の中で一番やりがいを感じる部分。うん、今回もいい玉ができましたっ(自画自賛)。
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2018年5月制作
生物記録系トンボ玉作品・自然環境シリーズ(海水域)
玉の大きさ:H28mm x W24mm
穴の直径:3mm
材質:鉛ガラスに一部ソーダガラスを使用(佐竹ガラス)
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この作品「海藻の森」第一号作品は今月のグラス2Hオークションに出品しています。
本日(22日)が入札日ですでに入札が始まっています。
新作「海藻の森」の入札終了時刻は本日 22:00 です(自動延長あり)
本作のような手間のかかる上にマイナーなモチーフの作品は今後の制作数もどうしても少なめになってしまうと思います。もし気に入っていただける方がいらっしゃいましたら、是非この機会によろしくお願いいたします! m(_ _)m
なお、この作品もよく見るとガラス表面に細かな白点や凹凸などがあります。成型に時間がかかる作品ではどうしても防ぎきれないのですが(たぶん腕の問題…汗)、ガラス作品にすっきりクリアな質感を期待される方はご注意くださいませ。
今月のオークションにはもう一点、ガラス造形作品の「魚石(sp. C)」も出品しています。
最近よく作っている穴のない非トンボ玉版の魚石です。
「魚石(sp. C)」の入札終了時刻は本日 21:30 です(自動延長あり)
こちらもどうぞよろしくお願いいたします〜。