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化硝研究所企画作品005番

グラスタウンのCo展企画「化硝研究所」に今回も参加しています。

架空の地質年代「ギャプス紀*」の地層から出土した未確認化石をガラス作家たちが観察し、想像力を駆使してその生時の姿をガラスで復元するという空想古生物創作企画。

 *ギャプス紀は古生代~中生代の境目、概ね2億3800万年~2億6200万年前頃らしいです(フィクションです)。

→ Co展「化硝研究所」

今回化硝研から復元を依頼された化石画像がこちら↓

ギャプス紀未確認化石005番

むむむ…一見するとスツボサンゴの化石みたいですが化硝研からのお題 復元依頼化石ですから、そんな現生するような生物ではないはず。
 
  
化石を詳しく調べてみると…

なにやら魚っぽい輪郭が見えてきましたね。ふむふむなるほど…
 
  
あれこれ想像を巡らせながら考察した結果、以下のような奇妙な古生物の姿が浮かび上がってきました。

Fibulaspis parasitus *(フィブラスピス パラシトゥス)

脊索動物門/脊椎動物亜門/無顎類 詳細不明

*学名の意味:fibula(ブローチの) + aspis (盾・甲) parasitus(寄生性の)

フィブラスピス パラシトゥスは、ギャプス紀の海に生息していた小型の無顎類(顎を持たない脊椎動物)。
無顎類の中でもオルドビス紀からデボン紀に繁栄した鎧のような骨質の頭甲を持ついわゆる甲冑魚の形態と、現在まで生き残っている唯一の無顎類である円口類(ヤツメウナギやヌタウナギ)の口器とよく似た特徴を併せ持った生物のようです。

ヘルメットのような硬く重い頭甲、平らな頭甲部腹側にある巨大な吸盤状の口、小さなヒレで遊泳能力に乏しい退化的な胴体が大きな特徴。
これらの特徴から、本種は大型魚類などの生物の表皮に吸い付いて皮膚や体液を摂食していた「外部寄生性脊椎動物」と推測されます。

宿主である大型魚類の体表にフィブラスピスが付いている様子はまるで愛らしいカメオのブローチみたいです。
驚異的な吸着力を持つ腹面で宿主にガッチリと張り付き、トゲのある硬い頭甲に守られて捕食されることもほとんど無く、寄生した宿主の上で生涯栄養分を吸い続けて成長・繁殖するという生態を持っていたと考えられます。

魚類の体表に寄生して暮らすという生態を持つ生物は、現在では甲殻類のウオノコバンやチョウなどがよく知られていて、ギャプス紀の海でフィブラスピスはこれらの生物とよく似た生態的地位にいたと想像できます。
それにしても脊椎動物でそんな寄生生活をしている種ってほどんど思い当たりませんが、何か理由があるんでしょうか。そんな珍しい寄生性脊椎動物フィブラスピスはギャプス紀に突如出現して短期間ですぐに絶滅してしまった幻の生物です。

 
 

この復元イメージを立体化したガラス復元作品がこちら↓


肌色の個体と藍色の個体の2点制作しました。

 
肌色の個体↓

 
藍色の個体↓

紙製の標本箱が付属します。
標本ラベルをよく見ると肌色の方は「Fibulaspis parasitus ♀」、藍色の方は「Fibulaspis parasitus ♂」と記されていて、それぞれ雌と雄という設定になっています。

この企画、今回も僕の他に2名のガラス作家、礒野昭子さんと谷口知惠子さんも参加していて、個性的な古生物復元ガラス作品を発表されてます。それぞれ面白いですね〜。
→ Co展「化硝研究所」

なお、過去の化硝研究所のギャプス紀生物の復元レポートはこちらにまとめられています。
→ Co展「化硝研究所レポート」


これらの僕の化石生物復元ガラス作品「フィブラスピス パラシトゥス」2点は8月22日開催のGlass2Hオークションに出品されています。
グラスタウンさんからの出品・発送になります。
入札終了時刻は22日の22:00(肌色)と22:10(藍色)で自動延長ありです。
どうぞよろしくお願いいたします。

Glass2H