新作が完成したので紹介しますね。
5月22日開催のGlass2Hオークションの出品作品です。
ガラス作品「マイクロアトール」
May 2023
海岸に落ちている小さなキクメイシ類の珊瑚石に、ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ、ヒメジャコガイ等が暮らすマイクロアトールの景色を重ねて表現してみた作品です。
マイクロアトール(microatoll, 微環礁)とは、浅瀬の塊状サンゴ群体が上部は干出して死んでしまうため横方向のみにドーナツ状に成長したもの。アトール(環礁)と形成過程や構造がよく似ているためこう呼ばれています。
海岸付近のサンゴ礁ではハマサンゴのマイクロアトールがあちこちに見られ、その内側の窪みにも多くの生き物たちが棲み着いています。マイクロアトールの成長とともに内部では様々な生き物たちの「棲み込み連鎖」が進行し複雑な生物群集が形成されていきます。
干潮時は小さな環礁らしくこんな感じ↓
そんなマイクロアトールのことを考えながら海岸に打ち上がっていた珊瑚石を見つめていたら
マイクロ・マイクロアトール的な作品を作りたくなったわけです。かなりイメージ通りに出来ましたっ。
ハタゴイソギンチャク&カクレクマノミもヒメジャコガイも、基本的に移動しないでその場に棲み着いている生き物という基準でこの小さなマイクロアトールに棲む生物として選びました。
僕がガラス作家になってから今年で15年になりますが、作品にクマノミを登場させるのはこれが初めてです。
実は作家になったときからクマノミは作らないことにしていました。
以前、あのニモの映画がヒットした直後に沖縄の海からカクレクマノミたちが消えてしまったことがずっと辛い記憶として残っていて、人気がありすぎる生き物を作ることに消極的だった感じで…
ただ僕も50歳になり、残りの創作時間も考えるとそんな理由でこの生き物をガラスで記録しておかないのはイカンだろうといよいよ制作することに。
作ってみたらやっぱりクマノミは可愛すぎます。
そして「あの海を想う」シリーズ作品として「珊瑚石」も初制作です。真っ先に作りそうなモチーフなのにこれまでやってなかった理由は、沖縄では海岸で珊瑚石(サンゴの骨格)を採取することが禁止されてるから。持ち帰ることができないので「海で拾ったもの」が主題のこのシリーズにおいてはモチーフとしての優先順位がやや低めでした。
この作品はあの海シリーズではありますがどちらかというとマイクロアトールの生物群集が表現したかったテーマになっています。
本品には展示/収納兼用の木製標本箱が付属します。
ちなみにこの作品には「元」のサインパーツが入っていないので(仕上げの工程で消えてしまいまして…)、箱の蓋にサインパーツ入りガラス取手を付ける予定です。
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「マイクロアトール」
ガラス造形作品・あの海を想うシリーズ
制作時期:2023年5月
大きさ:33mm x 32mm x 18mm
材質:主に鉛ガラス、一部にソーダガラス(佐竹ガラス)
制作者:増永元
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この作品「マイクロアトール」は2023年5月22日(月)開催のグラス2Hオークションに出品中です。
本品の入札終了時刻は22日の22:10です(自動延長あり)。
大切にしてくださる方がいらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします!
→ Glass 2H