グラスタウンのCo展企画「化硝研究所」に今回も参加しています。
架空の地質年代「ギャプス紀*」の地層から出土した未確認化石を化硝研究所所属の専門家(ガラス作家)たちが観察し、想像力を駆使してその生時の姿をガラスで復元するという空想古生物創作企画。
*ギャプス紀は古生代~中生代の境目、概ね2億3800万年~2億6200万年前頃らしいです。
(フィクションです)
今回化硝研から復元を依頼された化石画像がこちら↓
ギャプス紀未確認化石006番
ノジュールの中に何やら丸っこいモノが入ってるように見えますね。
もう少し詳しく見てみると…
重なった丸みのある殻、中には特に目立った構造物は見られません。
むむむ、これは一体何者でしょう…
えー以下、ワタクシ増永による復元結果報告になります。
種名:Tetrapelta sphaera (テトラペルタ・スファエラ)
軟体動物門 / 多板綱 / 詳細不明
テトラペルタ・スファエラはギャプス紀の浅海に生息していた多板綱の軟体動物。
現在のヒザラガイ類に近縁の生物で、丸みのある4枚の殻と比較的発達した一対の眼を持っていたようです(現生のヒザラガイは8枚の殻を持ち、殻に小さな殻眼が多数ありますが発達した眼は持っていません)。
体を丸めてダンゴムシのような方法で身を守るとるという貝類としては珍しい防御方法を持っていました。
殻は厚みがありますがコウイカの甲のような軽量構造になっていて、普段テトラペルタは軟体部を広げて海底付近を活発に遊泳していたと思われます。
防御姿勢時からは想像できないほど大きな軟体部を持っているように見えますが、これは体内の空隙に吸い込んだ海水を満たすことによって体型を維持する水風船のような仕組みを持っていたためです。
テトラペルタは多板綱の貝類としては異例なほど機動力(と防御力)に優れそれなりに繁栄した種のように思われますが、彼らもギャプス紀に突如出現して短期間ですぐに絶滅してしまった幻の生物です。
学名の意味:tetra(4つの)+ pelta(楯) sphaera (球体)
↑古生物モノでよくあるCGによる復元画像。
復元図を描く前に、4枚の殻が丸まったときに綺麗にピッタリ重なるかを確認するために3Dモデルを作ってみました。
そして、Tetrapelta sphaera のガラス復元模型はこんな感じに↓
この作品には紙製の標本箱が付属します。
この化石生物復元ガラス作品「テトラペルタ・スファエラ」は6月22日開催のGlass2Hオークションに出品されています。
グラスタウンさんからの出品・発送になります。
入札終了時刻は22日の22:00で自動延長ありです。
なお「テトラペルタ・スファエラ」は2点制作していまして、来月のオークションに色違いのもう一点が出品される予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
→ Glass2H
この企画、今回も僕の他に2名のガラス作家、礒野昭子さんと谷口知惠子さんも参加していて、個性的な古生物復元ガラス作品を発表されてます。今回も面白い〜。
→ Co展「化硝研究所」
前回の僕の化硝研究所企画作品はこちら↓