あちらの世界 観察記録
渦窓から「あちらの世界」が覗けるのは今月末(ハロウィン)の頃までで、それ以降は完全に霞がかかって次のお盆の時期まで何も見えなくなります。
では、そろそろ今期最後の観察を…。
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延々と続く泥の平原、そこをひたすら歩き続けるヘルペトン。すぐ後にはプラヌスがピッタリついて歩いています。
しばらく観察していると、いつの間にやら泥の地面は明るく変わり、2匹は光り輝く浅い水場にそのまま入っていきました。
周囲をよくよく見渡すと、広くて浅い鏡のような湖です。とりあえず、その雰囲気から幻鏡湖(げんきょうこ)とでも呼ぶことに。
幻鏡湖を進み続けるヘルペトンとプラヌスが、突然ピタリと動きを止めて何かをジッと見ています。視線の先にいる者は…これまた初めて目にするあちらの住人…。
ギラリと光る大きな瞳が印象的なその生物は、しばし2匹を見つめた後に足をユラユラ波打たせ、風のようにすぅーっと走っていきました。
ここは彼らの住処のようで、遠くの湖面を複数個体が走り回っているのが見えます。角度によって眩しく輝く彼らの瞳がチカチカと綺麗に明滅しています。
輝く瞳のこの生物には「タペタム」*という名を付けました。
* Tapetum(輝板:眼球内にある光を反射する膜). 語源はラテン語の tapetum lucidum(輝く絨毯).
他の住人と同様に、体の中には骨魚や脳水母など多様な者が共に暮らしているようです。
あちらの住人「タペタム」
長時間タペタムたちを夢中で観察しているうちに、ヘルペトンとプラヌスはどこかに行ってしまったらしく、慌てて探してみたものの彼らの姿が見つかりません。
彼らの行方は気になりますが、この渦窓も少し霞んできたようで今期のあちらの世界観察はここらで終わりにすることに…。
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以下、ガラス作品「タペタム」の紹介を。
今回色違いで2体創ったうちの白っぽい個体です。クリアガラスでできた本体の底部分が磨りガラス状になっているため白っぽく見えます(白いガラスが入っているわけでありません)。
骨魚はこのタペタムのために新たに作ったもので、ヘルペトンの中に入っているものとは少し形状が異なります。
あちらの住人としては珍しく、主に側面から内部の様子を覗く感じになります。
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「タペタム」白
空想系ガラス造形作品・あちらの世界シリーズ
制作時期:2021年10月
大きさ:50mm x 27mm x 20mm程度
材質:鉛ガラスと一部にソーダガラス(佐竹ガラス)、銀箔
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今回色違いで2体創ったうちの黒っぽい個体です。底部分だけに暗い色のガラスが入っていて、それが反射して全体が黒っぽく見えています。底部が暗いので骨魚の姿がよく見えます。
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「タペタム」黒
空想系ガラス造形作品・あちらの世界シリーズ
制作時期:2021年10月
大きさ:50mm x 27mm x 22mm程度
材質:鉛ガラスと一部にソーダガラス(佐竹ガラス)、銀箔
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ガラス作品「タペタム」白 と「タペタム」黒 は10月22日(金)開催のグラス2Hオークションに出品しています。
各作品の入札終了時刻は
・「タペタム」白…21:40
・「タペタム」黒…21:55
です(自動延長あり)。
→ Glass2H
また、今回のオークションではコレクター様からも僕のトンボ玉作品「深林の底に」が出品されています。2015年に制作・販売した粘菌とトビムシの玉(試作品)です。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。