11月のGlass2Hオークションに出品した作品を紹介しますね。
今回、5年ぶりにあの海を思うシリーズの「タコブネ」を制作しました。
以前、2017年に制作した作品についてはこちらをご覧ください↓
(この時はタコブネ拾いたい!っていう強い願望を作品にしました)
実は先月下旬、グラスタウン町長さんと礒野昭子さんに誘われて与論島に遊びに行ってきました。そこでついに拾ってしまったんですよ。
ホンモノのタコブネ(Argonauta hians)の殻!!!
いや、めちゃめちゃビックリしました。
南西諸島では漂着例がかなり少ないようなので沖縄近辺で拾うのはかなり厳しいと思ってたんです。まさか与論の小さなビーチに落ちてるとは…。
本当に行って良かった与論島、誘ってくれたお二人に感謝感謝です。
そんな興奮が冷めないうちにこの気持をガラス作品として固定しておこうってことで完成させたのがこちら↓
「タコブネ」2022
殻の部分ももちろんガラスでできています。表面の筋模様は一本ずつ慎重に彫り込んで仕上げました。
タコブネは貝殻を作るタコの仲間です。メスは自分の触手でこのような形の殻を作り、その中に乗り込んで外洋の表層付近を漂いながら生活しています。
そんな長旅を終え海岸に漂着したタコブネの殻の中から溢れ出す海の記憶は、外洋を漂うオキクラゲとウルメイワシの群れ。
前作はミズクラゲを入れたのですが、今回のものにはオキクラゲを選びました。
与論で拾った殻は小さめのサイズだったのですが、特に小さなタコブネがオキクラゲなどの外洋性のクラゲの傘に乗って移動している様子が多くの水中写真家によって撮影されています。タコブネはクラゲに乗って移動し、さらにそれらのクラゲを食べたりもしているようです。
参考:Should You Pick Up An Argonaut Octopus Hitchhiker? Let’s Find Out!
拾ったタコブネもそうやってクラゲと一緒に旅をしていたのかと想像しながらこの光景を創りました。
左:昔どこかで購入した殻、中央:今回の作品、右:与論で拾った殻
前作は左の殻を参考に、今作のプロポーションは右の与論で拾ったタコブネの殻を参考にしています。本当はもう少しだけ小さく作りたかったのですが、この大きさが限界でした。
タコブネ類(Argonauta属)の殻は貝類の殻と違ってその形には様々な種内変異があって安定した形状ではないらしく、殻の形態的特徴に基づいて多くの種が記載されているけれど実際に種として認識されるのは4種(Argonauta hians, A. nouryi, A. argo, A. nodosus)くらいのようです。
参考(pdf):Recognising variability in the shells of argonauts (Cephalopoda: Argonautidae): the key to resolving the taxonomy of the family
—————-
ガラス造形作品・あの海を想うシリーズ
制作時期:2022年11月
サイズ:47mm x 33mm x 24.5mm
材質:主に鉛ガラス、一部にソーダガラス(佐竹ガラス)
—————-
展示台/収納箱兼用の専用木箱も作りました。
箱の表面と裏面で異なる作品ラベルが付いています。
蓋には小さなミズクラゲさんが入ってるちょっと豪華なガラスの取手が。
専用木箱のサイズ:81mm x 50mm x 61mm(取手部を除く)
ガラス作品「タコブネ」は11月22日(火)開催のグラス2Hオークションに出品しています。
この作品の入札終了時刻は22:15です(自動延長あり)
今月はもう一点「魚石(sp. F)」も出品しています(22:00終了予定)。
こちらについてはまた別記事で紹介しますね。
ではでは、今回のオークションもどうぞよろしくお願いいたします。
→ Glass2H