8月〜10月は期間限定制作の空想作品群「あちらの世界」シリーズの創作に取り組んでます。
今回はあちらの世界を覗く道具についてのお話。
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ここ数年、この時期になると「あちらの世界」の様子を観察していますが、あちらを覗くには特別な道具が必要です。それが時々話の中に出てくる「第三の目」なのですが、実はこの呼び名は通称であり正式名称を「あちらの渦窓(うずまど)」と申します。
では、その特別な道具について詳しく説明を….
とある収蔵庫の古い標本コレクションの中に紛れていたこの不思議な形のもの、4年前に偶然見つけたこの物体が「あちらの渦窓」。
自然物か人工物かも不明、なぜここにあるのか一切の記録がなく由来が全く謎のもの。
先端はクルクル渦巻き、反対側には何やら不思議な景色が見えるレンズのような窓。
一体どこの光を捉えているのか、窓の中には明らかにこの世ならざる別の世界の光景がユラユラ映し出されています。これがいわゆる「あちらの世界」。
渦窓の位置を動かすと映る景色も動くので、小さな窓から向こう側を自由に観察できるのです。
ただし「あちらの世界」が見えるのは、お盆からハロウィンあたりの限定された期間だけ。他の時期には霞がかかり窓は曇って全く何も見えません。
窓の中の光景は目から直接見えるのではなく、目を閉じた方がより明確なイメージが見えてきます。どうやら目よりも奥の脳内にある松果体を網膜として映し出されているようで、レンズ状のこの窓は松果体にあちらの光を投影するための水晶体として機能しているように思われます(故に通称「第三の目」)。
なお、他者によって記された「あちらの世界の観察記録らしきメモ」も過去にいくつか見つかっており、それはこのような渦窓がこの世に複数存在することを意味するものかもしれません。
まったくもって謎に包まれた物体ですが、今後もこの道具を用いてあちらに棲む者たちの観察を続けます…。
* あちらの世界のお話はフィクションです。
以下、ガラス作品「あちらの渦窓」の解説を。
新作「あちらの渦窓」2021
あちらの世界を観察することができる道具というものを作品として形にしてみました。あちらの世界シリーズでは主に謎の生物(住人)たちを直接スカルプチャとして立体制作していますが、この渦窓は彼らが棲む世界の様々な場面をジオラマ的に表現したくて創りました。
この作品の窓の中には、水中を泳ぐ骨蛇と水底に骨蛇の主であるプルトンの姿が表現されています。骨蛇は時々プルトンの体内から出て水中を自由に泳ぐのです(外に出た骨蛇はけっこう気性が荒いらしい…)。
ミニサイズのプルトンの体内にはミニミニの脳水母が入っています。
↓ プルトンについてはこちらをご覧くださいませ。
「あちらの渦窓」はこのシリーズの中で唯一こちらの世界に存在するとされる物体なので、こうやって手で持つとなんだか実在感あります。
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作品タイトル:「あちらの渦窓」
空想系ガラス造形作品・あちらの世界シリーズ
制作時期:2021年9月
大きさ:40mm x 36mm x 31mm程度
材質:鉛ガラスに一部ソーダガラス(佐竹ガラス)、銀箔
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この作品はグラス2Hオークションに出品しています。
オークションの入札日は明日、9月22日(水)です。
この「あちらの渦窓」の入札終了時刻は 21:30 です(自動延長あり)。
なお、今月のオークションにはもう一点、「ヘルペトン」2021も出品しています(入札終了時刻は 21:45 です)。こちらの作品については別の記事で紹介しますね。
それでは明日22日開催のGlass2Hオークションもどうぞよろしくお願いいたします。