世の中はハロウィンの雰囲気で賑やかになってきました。ハロウィンまでの期間限定創作の空想作品群「あちらの世界」シリーズも今年はそろそろお終いです。
今回は「渦窓」のお話。
* 以下、あちらの世界のお話はフィクションですよ。
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昨年紹介したあちらの世界を覗く道具「あちらの渦窓」。こちらとあちらを繋ぐこの物体、正体は一切謎でしたが調べていくうちに新たな発見があったので報告いたします。
なお、正式名称は「あちらの渦窓」ですが、今後は単に「渦窓」と呼んでいきます。
昨年の記事はこちら↓
この渦窓の形、どこかで似たようなものを見た気がしてずっと引っかかっていたのですが…やっと思い出したのです。
上の写真はとある地域の極めて薄い地層から発見された奇妙な形の貝化石たち。
数年前、これらの貝化石から生時の姿の復元するという作業をやりました↓
当時これらの化石標本を届けてくれた調査員から、他にも不思議な化石たちを次々と発掘している現地の資料写真を見せてもらったのです。
そこに写っていた化石の中にどうも「渦窓」っぽい形のものがちらっと見えたような…。
先日そんなことをふと思い出し、慌ててそれらしき化石標本を送ってもらいました。
なお、この地層の未確認化石発掘調査は現在は化硝研究所が行なっており、その地質年代は「ギャプス紀」と名付けられています。
さっそく届いた標本箱を開けてみると
うーん…やはりこれは…
昨年紹介した渦窓と少し形は違いますが、かなり似た雰囲気を醸しています。
この貝化石の内側は中までしっかり結晶化し均一に鉱物化した状態でした。
貝化石は中身が透明な鉱物になっているものも多く、今回の化石の状態もそれに類するものと思われます。そういえば最近沖縄で採集した巻貝化石もよく見るとガラス細工のように結晶化していました(下の写真)。
方解石、石英、透明石膏など様々な結晶化があるようですが、素人の僕にはよく分かりません。
さて、渦窓らしきこの化石の肝心の「窓」部分は薄汚れて曇っていましたが、あの「魚石」を扱うように丁寧に磨いていくと少しずつ透明感が出てきました。
今はちょうどハロウィン前、これが渦窓だったらあちらの世界が覗ける時期です。
恐る恐る磨いた窓を覗いてみると…
見えました!!! これは間違いなくあちらの世界の光景!
なるほど、
つまり渦窓の正体はギャプス紀の謎の古生物(おそらく軟体動物)の結晶化貝化石⁉
渦窓のことが少しだけ分ってきましたが、幻の地質年代「ギャプス紀」由来ということでますます謎が深まった気もします。そして何よりもこの渦窓がいったいどのようにあちらの世界の光景を捉えて映し出すのか….そこについては全くもって不明なままです。
今年最後のあちらの世界観察と、今月のGlass2H出品作品「渦窓」&「プルトン」の詳しい紹介は次の記事で。